ヘッドセットの基本的な仕組み
ヘッドセットは受話器の代わり

ヘッドセット(Headset)という言葉がハンドセット(受話器、Handset)と対で用いられる通り、ヘッドセットは基本的に受話器の代わりとなるものです。そして受話器と同様に電話機との間で音声信号をやり取りするものなので、電話機そのものの代わりになるものではありません。ヘッドセットは受話器よりも優れている点が数多くありますが、電話機の仕組み上実現されている受話器特有の機能を予め理解しておく必要があります。それは「オンフック/オフフック」機能、つまり電話回線を切ったりつないだりする機能です。受話器はヘッドセットと異なり、通常は電話機本体に置かれますが、その位置には「フックスイッチ」が取り付けられています。そして受話器を持ち上げたり戻したりすることで自動的にそのスイッチがオン/オフされ、「オンフック/オフフック」が行われているのです。ですから受話器の代わりにヘッドセットを使う場合でも、基本的には受話器を動かして「フックスイッチ」をオン/オフさせなければ通話はできません。
受話器の仕様はまちまち
受話器はつながっている電話機本体との間で正常に機能するように作られているもので、他の電話機につないで使用することなど一切想定していません。そのためオフィスで使われているビジネスフォンや家庭用電話機の受話器の仕様はメーカー/機種ごとに微妙に異なります。たとえ同じメーカーでも機種によって全く違う場合もありますし、機種が同じでも製造時期によって異なる場合さえあるのです。受話器の代わりにヘッドセットを使う上で重要なポイントは受話器に採用されているマイクの種類や感度、さらにスピーカーの感度や送話/受話信号の配線などがありますが、電話機メーカーではこの種の情報を一般公開していません。一般的な電話機の場合、受話器は4本の信号線(2本が送話信号/2本が受話信号)で電話機本体に接続されていますが、その信号の組み合わせが異なるだけでマイクが効かなかったり何も聞こえなくなってしまいます。数多くある電話機の仕様に合わせて個別に専用ヘッドセットを用意するのは現実的ではないため、このような仕様の違いを吸収してしまうヘッドセット専用インターフェースが考え出されました。これが一般的に「ヘッドセット用アンプ」と呼ばれる製品です。
多様化するアンプ製品
アンプ製品の基本的な役割はさまざまな電話機でヘッドセットを使えるようにすることです。受話器に比べ通話相手の声が聞き取りづらかったり、通話相手に届く音質が悪ければ使い物になりません。このような接続互換性に関する基本機能はアンプ製品の優劣を決める重要なポイントです。また一般的なアンプ製品には受話器/ヘッドセット切替スイッチやマイクミュートスイッチ(通話中にマイクのみ無効にする機能)、受話音量の微調整つまみなど便利な機能が搭載されていますが、先進的な製品ではさらにパソコンとの接続機能や通話録音機器との接続機能などが搭載されています。現在の音声通信環境は劇的に変化していて、オフィスではパソコンを介したIPソフトフォンやWEB会議を積極的に利用するようになってきました。パソコン接続機能は1つのヘッドセットで電話機/パソコンを切り替えて使用できるようにするもので、オフィスのハンズフリー環境を構築する上で今や欠かせない機能になってきています。また電話会議やWEB会議を長時間利用する企業が増える傾向にあり、ICレコーダ等の録音機器にその会議内容や通話内容を録音したいという要望が以前から数多くありました。オフィスでは通話録音機器を簡単に接続できるアンプ製品を待ち望んでいたのです。
ヘッドセットに求められる性能
受話器は手で持つもので、長年使っていても壊れたという話はほとんど聞きません。受話器は全体的に重いものの、壊れにくい頑丈な素材でできていて、太いケーブルで電話機本体につながっています。ではヘッドセットも単に頑丈であればいいものでしょうか? ヘッドセットは受話器と異なり頭部に連続的に装着するものです。耐久性はもちろん重要ですが、装着時の快適性や送話/受話の音質も重要なポイントになります。一般的にヘッドセットの耐久性と快適性は引き換えになってしまいますが、先進メーカーでは耐久性に優れた超軽量素材や細いケーブルを採用してどちらもバランス良く実現しています。また音質に対する考え方もメーカーによって大きく異なります。高性能ヘッドセットには周囲の騒音をカットし装着者自身の声しか極力拾わないようにするノイズキャンセル機能付マイクが搭載されていますが、機能バランスの悪いヘッドセットでは装着者自身の声までカットしてしまい、通話相手にはクリアな音声が届きません。ヘッドセットのスピーカー性能も重要です。通話相手の声が聞き取りづらいようではコミュニケーションに支障をきたしますし、ミッションクリティカルな通話業務では安心して使用できません。このようにヘッドセットには、単にハンズフリーを実現する道具としてだけでなく、さまざまな性能が同時に求められているのです。



